アメリカの学校の中でサドベリースクールというのをご存じでしょうか?個人重視のアメリカでも、ユニークな教育スタイルとして知られていて、それぞれの学生たちの意志を尊重して学びたいことを選ぶという、学校が決めるカリキュラムやコース科目も無いというのが特徴です。この教育スタイルを求めて、サドベリースクールに進学したいという方もおりますが、学生ビザという視点からいうと、なかなか難しいのです。
学校自体の規模が小さく、留学生を迎え入れる認定をアメリカ政府から受けているところがほとんどないという現実であるため、学生ビザでの入学は限りなく難しい。他の組織がビザをスポンサーしてくれた場合、あるいはご自身や家族がアメリカで合法的に滞在でき、学べるビザを持っている場合には、このような学校で学ぶことは可能です。
学生ビザは不可能に近い状態ながら、「どうしてもサドベリースクールを経験したい」という情熱を持った学生さんのために、考えついたのが、90日未満の観光の身分で渡米し、正規の学生というよりは、訪問的な立場で在籍するというものでした。今回は夢を実現させた、KSさんのサドベリースクール体験記をご紹介します。
~KSさんからのメッセージ~
私が2か月間通ったSpring Valley School(以下SVS)は、noカリキュラム、noテスト、mix ageが特徴のサドベリースクールと呼ばれる学校の一つです。スタッフはいますが、国語や算数を教える先生はいません。このタイプの学校は、日本でも徐々に数が増えてきて、この春にも、八ヶ岳に新しい学校がひとつ開校しました。SVSに通う子どもたちはみな、自分で自分の学びを選択し、責任を持っています。ですから、子どもたちの行動をだれかが制限することはありません。登校してから家に帰るまで、何をするのも自由。一日中パソコンをあつかっていても良いし、art roomで絵をかいても良い。校庭に出てバスケをしても、ローラースケートをしても、とにかく何でもOK。実際、私が滞在したときには、10代の生徒とスタッフの間でバックギャモンというボードゲームがはやったりして、メインルームではしょっちゅうだれかが対決していました。一見遊んでいるだけのようですが、自分の好奇心をとことん追求していった生徒たちの多くがそれぞれの道を見出し、各界で活躍していると、統計が出ています。そして、自由な活動と同時に、ルールも尊重されています。それは、日本での公立の学校みたいに先生が一方的に決めたルールではなくて、生徒やスタッフ、保護者など、関係する人みなが話し合って作ったルールです。
帰国してから、友人に『で、何を学んできたの?』とよく聞かれます。私は、自分自身を深く理解したくて、このスクールに受け入れてもらえるよう、お願いをしました。私は普段何を考えているのか、何をすると幸せを感じられるのか、これからどう生きていきたいのか、日常から離れて考えてみたかったのです。信頼と尊重が大切にされているSVSの空気感の質はとても高くて、生き生きと輝いています。そんな環境に身を置くことで、私がいかに制限された世界で生きているのかを体感しました。こんなに自由な世界があるのかと、感動しました。自分を一生懸命生きている仲間にたくさん出会えた80日間は、私にとって宝物です。春休みになって、またSVSに遊びに行くのが今から楽しみです。
KSさんが体験したスプリングバレーは、フロリダに所在する学校です。実はもう大学生であったKSさんを受け入れ、彼女の滞在についてもお世話先を紹介してくれた、とても良い学校でした。まさに自由と学生の意志を尊重するサドベリースクールならではのことだと実感しました。
このような、学生の方一人一人の御希望を、じっくり聞いて、実現に向けて一緒に努力する姿勢を、USカレッジコネクションでは持ち続けていきたいと思っています。KSさんが貴重な体験をできたことを嬉しく思っています。