アメリカの大学を取り巻く情報を知ることができる英文のウエブサイト ” Inside Higher Education” で「何が留学生を刺激するのか?」(What motivated international students?) と題する興味深い記事が掲載されていたので、今回はこの記事の内容をご紹介したいと思います。この記事は経済協力開発機構(OECD)がとった教育についての2010年の統計をもとに書かれているもので、世界中から集まる学生がどうやって留学する国を決めるのかということを分析しています。
留学先のトップ5の国々は、想像どおりアメリカ合衆国が1位、それにつぐ2位がイギリス、3位以下はドイツ、フランス、オーストラリアと続きます。興味深いのは、イギリスを留学先に選んだ学生の半数以上がその理由を教育の質を理由に挙げているのに対し、アメリカを留学先に選んだ学生のほぼ40パーセントはその理由として卒業後の就職の可能性を挙げていることです。日本人の間でも、イギリスの大学は名門、伝統というイメージがあるのではないでしょうか。アメリカでもたしかに名門校、有名校は数多く存在しますが、それ以上にアメリカを選ぶ学生は、将来アメリカでの就職も視野に入れ、それにはまずはアメリカの大学からということで渡米を決意するのでしょうか。近年留学生の就労条件が厳しくなっているアメリカではありますが、それでもアメリカに留学した学生でないと与えられない特権であるプラクティカルトーレーニング(在学中、卒業後など1年間限定の就労機会)からアメリカ就労ビザ獲得にこぎつけるケースもまだまだありますし、仕事イコールアメリカの構図は理解できます。
ちなみにオーストラリアやカナダを選択する学生はやはりワーキングホリデーを利用しての働きながら学ぶということを目的にしている場合が多いようです。またドイツを選ぶ学生の多くは授業料の安さをその理由にあげているのも面白いと思いました。ただし、近年の世界的不況で留学生の多くが資金の安さで留学する国を選ぶのかというイメージもありますが、そうではなく、やはり将来の可能性を一番に考え大学の質やキャリアアップの可能性で留学する国を選んでいるようです。たしかに留学するということは大きな結論になりますので、どの大学がどんな専攻を提供していて、そこで学ぶことが将来どのように希望する仕事(進路)に生かされていくのかということを優先に考えるべきだと私も思います。大学の授業料についてですが、一般に公表されている値段が確定された値段かといえばそうではないのです。実は大学によっては奨学金を留学生にもだしていたり、在学中にプラクティカルトレーニングを利用して一般企業で有給の研修をすることができたりして提示された金額よりも実際払う金額は少なくなるケースもあります。大学の調査をしっかり行うことでいろいろな可能性も見えてくるはずです。最近はアメリカの大学はあの手この手で学生獲得に向けて取り組んでいます。例えばある私立の大学では、新入生として入学した学生すべてにアップル社のiPad(アイパット)をプレゼントなんていうところもありました。重要なのは留学準備のプロセスでしっかりと希望大学の調査を行うこと。はじめたの場合は何からはじめてよいか分からないかもしれませんが、そんな時はU.S.カレッジコネクションにお気軽にご相談ください。それぞれの希望に沿いながら、皆さんにとって最良の選択になるようアドバイスさせていただきます。
参考文献:
Inside Higher Education, http://www.insidehighered.com/news/2010/09/30/foreign