アメリカ大学への留学は中国出身者が1位

国際教育の普及のため毎年アメリカへの留学生の数やアメリカから世界で学ぶ学生たちの数などをデータとして「オープンドアーズ」という冊子にまとめている国際教育協会(Institute of International Education, IIE)が今年の11月に2009年の状況を発表しました。それによると、2009年秋のアメリカ大学で学ぶ留学生のうち、中国出身者がこれまでのインドを抜いて1位に躍進しました。昨年よりもおよそ30パーセントの向上です。最近の中国の経済的な元気の良さを裏付ける形といっても良いでしょう。私がアメリカ大学で留学生サポートのオフィスで勤務していたときにもその数年間で中国出身者が年々増えていく状況を目の当たりにしました。これは中国政府が国家予算で優秀な学生をアメリカ大学に送り、将来の特に科学技術の発展に貢献することを期待している訳です。アメリカに留学している中国の留学生達は国家の発展を担うエリートたちなのです。アメリカにおける中国出身の留学生の躍進により、他の国からの留学生の数が減っているにも関わらず、アメリカ大学全体の留学生の数も前年に比べて5パーセント増加し過去最高を記録したということです。

さてそれでは日本出身者の数ですがこれは前年よりさらに15パーセント減り、台湾に前年の5位の座を譲り、6位に転落しています。日本の経済状況が大きな要因になっていると想像します。皆さんにお願いしたいのは「アメリカ留学はしないほうが良い」という結論に至らないでいただきたいということです。上記の中国の状況を見てください。自国にも優秀な大学は存在するにも関わらず、国費で中国の優秀な学生たちをアメリカの大学に送っているのです。その背景にはアメリカの優れた大学で学ぶと同時に国際センスも身につけさせて中国が今後さらなる国際的な競争に勝ちうる戦力を輩出するという理由があるのではないでしょうか。日本の学生の皆さんも大学進学を考えているのであれば、日本だけに進学先を絞らず海外の大学も同じように候補に考えて欲しいと思います。経済的な状況を考慮しこれからは以下のことも視野に入れてください。

  • アメリカの大学は奨学金を出す大学も多いので、奨学金付与の可能性を必ず探る
  • アメリカの大学では留学生もインターンシップをして就労経験ができる場合もあるのでその可能性も探る
  • 寮のアシスタントとして採用されれば寮の滞在費が無料になるなど経済的な補助があるのでレジデントアシスタントに応募することも考える

奨学金や大学からの経済的なサポートが入れば全体の出費は結果的に日本の大学に進学するのと同じか安くなることもあるのです。またアメリカでインターンシップをした、寮のアシスタントとして働いたなどという経験は貴重なエピソードとして日本で就職する際の大きなアピールポイントにもなるはずです。10数年前、まだ日本の経済が元気だった頃、「なんとなく留学する」人々が多かったように思います。これからは目的を持って、「将来につながる留学」を目指して欲しいと思います。