アメリカ大学留学:経費をひも解く

今回は皆さんの質問の中で最も多いアメリカ留学の予算について考えてみたいと思います。大学進学を目指す場合、ぜひチェックしていただきたいのが希望大学のウエブサイトです。全部英文だから難しいとあきらめず、これも英語学習の一環だと思って目を通してください。

ファイナンシャルエイド(Financial Aid)か出願受付の係り(Admissions Office)のどちらかのセクションの中にたいてい授業料(Tuition)という項目が見つかるはずなのです。この数年どこの大学も毎年少しずつですが授業料を値上げしています。学期ごとの授業料早分かりシートを掲載している大学も多いのでそれをみると大体大学に支払う金額が予想できるはずです。

ただし、ここからがアメリカの大学の分かりにくいところで、支払わなければならない金額は授業料だけでは終わらないということです。例えば、新入生が授業が始まる前に参加するオリエンテーションにもオリエンテーション手数料がかかりますし、体育館や図書館など大学施設を使用するのでその施設使用維持費なども大抵請求されるはずです。そのようなもろもろの授業料以外のお金を授業とは区別してFees(手数料)と記述している場合もあります。

それに忘れてはいけないのが大学が学生に課する医療保険代金。たいてい医療保険は授業料などと一緒に請求書に加わっているはずです。大学によっては留学生は必ず大学が定める保険に加入しなければならないところもありますので、日本から医療保険も含む海外旅行保険に加入する前に学校側と確認することが余計な出費を抑えるポイントになりますね。

こんな風に書いてしまうと、アメリカの大学は授業料の他にこまごまとした手数料を加えて、支払額がとんでもなくなってしまうというイメージがありますが、そうでもないのです。授業料に全ての手数料をひっくるめてもよさそうなものですが、それをせずに一つ一つの手数料や維持費を細かく記載し学生や保護者に理解を求めている訳です。

「知らぬ間に支払う金額が増えていた」と悲鳴をあげる前に、学校側から提供される請求書の内容をチェックしてみてください。さらに間違いかなと思ったら必ず担当部署に出向いて疑問を解消することです。担当者の間違いというケースも時々生じます。

時にさまざまな部署を転々とし、疑問を聞いて回るという状況もありえますが、そうやって人間は強くなるのです。「疑問はその場で解消」を信条に頑張りましょう。

大学に支払う経費の見方が分からないという方、いつでもお問い合わせください。 mail@usccinfo.com

アメリカのユニークな大学(1):ウェーク・フォレスト大学

アメリカには3000以上もの大学機関が存在します。いくら大きなアメリカだからとは言っても3000という数はどの国と比較しても突出していると言えます。私立、公立を含めアメリカの大学機関はそれぞれの大学を学生たちにアピールすべく日々しのぎを削っているのがこれでご理解いただけると思います。

大学を選ぶ学生の立場でいうと、3000以上ある大学からどうやって自分にあう大学を選ぶかというのが重要なポイントになります。3000もあれば必ず自分にベストな大学はどこかにあるはずなのですが、それを見つけ出すのが一苦労ですね。さて今回からは私のこれまでの経験やアメリカニュースをチェックする中で気になった大学をご紹介していきたいと思います。皆さんの学校選びの参考になればと思います。

Maya Angelou
Maya Angelou

マヤ・アンジェロウという方をご存知でしょうか。アメリカを代表する詩人であり、クリントン大統領の就任式で自身の詩を披露した初めての黒人女性でもあります。また市民権運動にも力をいれあのキング牧師やマルコムXとも親交があった方です。そのマヤ・アンジェロウが教授としてアメリカ学の学部で不定期に教えている大学がノースカロライナ州にあるリベラルアート系大学のウェーク・フォレスト大学です。ちなみにこの大学のすごいところは、正式に大学の教育を受けたことのないマヤ・アンジェロウに対して教鞭をとることを依頼していることです。マヤのこれまでの作家、詩人としての偉業を大学の学位を取得していることと同等であると判断してのことなのでしょう。ちなみに大学からはマヤに対しオナラリー・ドクター(Honorary Doctor)名誉学位が贈られていますので、実際に大学院を修了して博士号を取得していないマヤ・アンジェロウですが、学生は彼女をドクター・アンジェロウと呼ぶわけです。学生の立場から言えば、今も現役で筆をとり、キング牧師と同じ時代を生き活動していたマヤから実際に学ぶことができるのは貴重な経験であるといえます。現在82歳のマヤ・アンジェロウですので頻繁に教鞭をとるということはないようですが、大学のウエブサイトを覗いてみると大きなイベントなどには招かれて学生にむけてスピーチなどもしているようです。日本の大学で黒人文学などを専攻、あるいは興味があるという皆さんはマヤ・アンジェロウに会う、あるいは彼女と話をするというのを目的にウェークフォレスト大学に留学するのもありかもしれません。でもそれを目的にするならば、行動は迅速に。

ウェーク・フォレスト大学について、あるいはアメリカの大学についてもっと知りたいという方はお気軽にU.S.カレッジコネクションまでご連絡ください。それでは今年も皆さんどうぞよろしくお願いします。

アメリカ大学への留学は中国出身者が1位

国際教育の普及のため毎年アメリカへの留学生の数やアメリカから世界で学ぶ学生たちの数などをデータとして「オープンドアーズ」という冊子にまとめている国際教育協会(Institute of International Education, IIE)が今年の11月に2009年の状況を発表しました。それによると、2009年秋のアメリカ大学で学ぶ留学生のうち、中国出身者がこれまでのインドを抜いて1位に躍進しました。昨年よりもおよそ30パーセントの向上です。最近の中国の経済的な元気の良さを裏付ける形といっても良いでしょう。私がアメリカ大学で留学生サポートのオフィスで勤務していたときにもその数年間で中国出身者が年々増えていく状況を目の当たりにしました。これは中国政府が国家予算で優秀な学生をアメリカ大学に送り、将来の特に科学技術の発展に貢献することを期待している訳です。アメリカに留学している中国の留学生達は国家の発展を担うエリートたちなのです。アメリカにおける中国出身の留学生の躍進により、他の国からの留学生の数が減っているにも関わらず、アメリカ大学全体の留学生の数も前年に比べて5パーセント増加し過去最高を記録したということです。

さてそれでは日本出身者の数ですがこれは前年よりさらに15パーセント減り、台湾に前年の5位の座を譲り、6位に転落しています。日本の経済状況が大きな要因になっていると想像します。皆さんにお願いしたいのは「アメリカ留学はしないほうが良い」という結論に至らないでいただきたいということです。上記の中国の状況を見てください。自国にも優秀な大学は存在するにも関わらず、国費で中国の優秀な学生たちをアメリカの大学に送っているのです。その背景にはアメリカの優れた大学で学ぶと同時に国際センスも身につけさせて中国が今後さらなる国際的な競争に勝ちうる戦力を輩出するという理由があるのではないでしょうか。日本の学生の皆さんも大学進学を考えているのであれば、日本だけに進学先を絞らず海外の大学も同じように候補に考えて欲しいと思います。経済的な状況を考慮しこれからは以下のことも視野に入れてください。

  • アメリカの大学は奨学金を出す大学も多いので、奨学金付与の可能性を必ず探る
  • アメリカの大学では留学生もインターンシップをして就労経験ができる場合もあるのでその可能性も探る
  • 寮のアシスタントとして採用されれば寮の滞在費が無料になるなど経済的な補助があるのでレジデントアシスタントに応募することも考える

奨学金や大学からの経済的なサポートが入れば全体の出費は結果的に日本の大学に進学するのと同じか安くなることもあるのです。またアメリカでインターンシップをした、寮のアシスタントとして働いたなどという経験は貴重なエピソードとして日本で就職する際の大きなアピールポイントにもなるはずです。10数年前、まだ日本の経済が元気だった頃、「なんとなく留学する」人々が多かったように思います。これからは目的を持って、「将来につながる留学」を目指して欲しいと思います。

歴史的黒人大学マーチングバトルとカレッジフェアー参加者募集

アメリカには歴史的黒人大学というカテゴリーに分類される大学が100校ほど存在するのをご存知でしょうか。これは人種隔離政策で黒人学生が白人学生とともに同じ建物で学ぶことが許されなかった時代、黒人学生への大学教育を理念に設立された大学を指します。現在ではもちろん人種に関係なく全ての学生が同じように学び自由に学校を選べる時代ですが、現在でも歴史的黒人大学には多くの黒人学生たちが彼らのルーツを学ぶべく入学し、アメリカ大学の中でもユニークな存在と言えます。

歴史的黒人大学は英語ではHistorically Black Colleges and Universities(略称HBCU)と言い、HBCUのマーチングバンドは全米に数あるマーチングバンドでも特別の地位を築いています。HBCUマーチングバンドの特徴はバンドメンバーがさまざまなフォーメーションを組み、歩き回る一般的なマーチングバンド形態に加え、R&B、ジャズ、ヒップホップ中心の選曲とバンドメンバーが音楽に合わせてダイナミックに躍動するダンスにあります。数年前にHBCUのマーチングバンドの世界を描いて日本でも上映された「ドラムライン」を見てHBCUマーチングバンドに魅了された日本人の方もも少なくないと思います。

さて、そのHBCUマーチングバンド界の最高イベントとも称されているのが自動車会社のホンダがスポンサーとなって開催しているHONDA・バトル・オブ・ザ・バンドです。毎年1月にジョージア州のアトランタで開催されているこのイベントにはファンやHBCUマーチングバンド関係者達の投票によって選ばれたトップ8校のHBCUマーチングバンドが出場しエキサイティングなパフォーマンスを披露するのです。9回目となる次回のHONDAバトルは来年1月29日に開催されます。このイベントの関心するところは、ただマーチングバンドイベントに終わらず、高校生やそれよりも若い子供達もやってくるこのイベントにあわせて歴史的黒人大学の学生勧誘のアドミッションカウンセラーを招いた大学フェアーもあわせて開催し、進学相談や実際に願書受付もできる機会を与えているところです。さすが地域に貢献するとアピールするホンダです。

さて、U.S.カレッジコネクションでは最低人数が集まればこのHONDAバトル・オブ・ザ・バンドとHBCUカレッジフェアーに参加するツアーを開催したいと思います。黒人文化に興味があり、歴史的黒人大学に興味があるという皆さんは直接各大学のカウンセラーを話ができるチャンスです。また純粋にマーチングバンドが好きという方も参加大歓迎です。ツアーというと大掛かりなイメージがありますが、ようは一緒にこのイベントを楽しみましょうというものです。一人で行くよりもグループでみるのが絶対に楽しめます。参加者各自で航空券はご予約していただきますが、イベントチケットや宿泊先はU.S.カレッジコネクションで手配します。

HONDAバトルは1月29日開催なので、アトランタには1月28日までに乗り込んでいただきますが、あとは他の都市を回ったりする予定を組むのもご自由にどうぞ。28日と29日の二日分の宿泊をツアーとして手配します。チケット代金はお一人12ドルと格安です。

参加者の有無を把握させていただくために、とにかく興味があるという方は今すぐご連絡ください。 このイベントはU.S.カレッジコネクションの姉妹プログラムであるブラックカレッジコネクションと共同で行います。歴史的黒人大学についてやHBCUマーチングバンドについてさらに知りたいという方はブラックカレッジコネクションのウエブサイトをご参照ください。www.blackcollegeconnect.com

このイベントへのお問い合わせは今すぐmail@usccinfo.comまでどうぞ。

米国移民局へ支払う手数料が更新されました

学生や生活者として外国人がアメリカに滞在していると何度か耳にする機会があるのがUSCISという省略形の言葉です。これはU.S. Citizenship and Immigration Servicesの略で日本語にすると米国移民帰化局ということになります。例えば労働許可の申し込み、観光から学生へのイミグレーションステータスの変更、はたまた永住権の取得などなど、アメリカに生活している外国人がさまざまなケースで書類を送付して許可を得る機関がこの米国移民帰化局なのです。もちろんこのような申し込みはただでできるわけはなく、手数料が当然かかり、この手数料が高いのです。合法的にアメリカに生活するにはどうしてもはずせないこのような移民上の書類なので、どんなに高くとも払わざるを得ないという外国人生活者の事情を利用されているという感じでもあります。

さらに今回このUSCISへ払う手数料が11月23日をもって更新されました。ほとんどの申し込み書類にかかる手数料は若干の値上げがされていますが、今回は極端な値上げはありませんでした。留学生として抑えておきたい変更は、オプショナルプラクティカルトレーニング(OPT)など労働許可の申請で必要となるI-765の申請にかかる料金が340ドルから380ドルへ引き上げられたことぐらいでしょうか。アメリカで移民ステータスを延長したり変更したりするときに申し込むI_539 にかかる申請料金が300ドルから290ドルに気持ち引き下げられたのはおもしろいところです。ちなみにこのI-539 というのは例えば、学生ビザ(F-1)のご主人に同伴して渡米した奥様はF-2(家族滞在ビザ)の身分ですが、アメリカで大学に合格したためF-2からF-1へ変更したいというときなどに必要となります。

気をつけていただきたいのは、この手数料の値段が更新される前の誤った値段で申し込みを行った場合USCISは申し込みの書類自身を受け付けず全てが申請者に送り返されてしまうということです。USCISの申し込み手数料は定期的に変更されますので、書類を送付する前には必ずUSCISのウエブサイトから手数料の確認と書類の送付先を必ず確認する必要があります。USCISのウエブサイトはwww.uscis.gov にアクセスし各申込書類の内容と値段を確認するには上部のFORMタブをクリックします。

アメリカグリーンカード抽選申し込み締め切り迫る

毎年アメリカは、アメリカへの移民率の低い国に生まれた人々を対象にしたアメリカ永住権があたる「グリーンカード抽選」を行っていますが、その2012年会計年度の締め切りが11月3日アメリカ東部時間夏時間正午に迫っています。日本人は最終学歴が高卒か同等以上であれば申し込むことができます。申し込みはオンラインで行われ、一人一回のみのエントリー。もしそれ以上エントリーした場合には申しこみが無効になるので注意が必要です。ただし、結婚されている方は、夫婦それぞれが別に申し込みをし、配偶者をそれぞれのエントリーフォームに加えることができるので、シングルの方に比べて2倍のチャンスはあるということになりますが。

2012年度の会計年度の申し込みが2010年に締め切りということで、結果発表までには時間がかかります。抽選にあたったかどうかは2011年の5月以降にホームページ上で行われ、本人のもとに通知がいくという訳ではありません。そしてもしあたった場合にはグリーンカード取得の手続きを2012年の9月30日までに行う必要があります。正式に米国永住権を取得するのは2012年の10月1日ということになります。

グリーンカード抽選なんてどうせ当たらないと、申し込まない方も多いかもしれません。でも申し込まないとあたらないのも事実です。将来アメリカでの生活を考えていらっしゃる方はだめもとで申し込んでみてはいかがでしょうか。アメリカ政府が発行した日本語での説明は以下のリンクからどうぞ。 http://travel.state.gov/pdf/DV2012_Instructions_JAP.pdf

米国移民ビザ抽選オフィシャルサイト(英語):http://www.dvlottery.state.gov/

アメリカ大学の規模とサポートの関係

最近アメリカのパデュー大学が日本のメディアでもずいぶん報道されました。これは今年のノーベル化学賞を受賞した日本人の根岸英一教授が働く大学であるためでした。また根岸氏と共にノーベル化学賞を受賞した鈴木章北海道大学教授も元々はこのパデュー大学で研究をした経緯があります。さてこのパデュー大学とはいったいどんな大学なのでしょう。英語ではPurdue Universityと書きます。はじめのPurは日本語表記では「パ」と発音されますが、英語の発音ではパというよりはプゥデューでしょうか。小さなウのところはウの口でアを発音する感じといえばお分かりいただけるでしょうか。

このパデュー大学はアメリカ中西部インディアナ州にある公立の大学で、学生数は39,000人以上(2009年調べ)また留学生の数も6,000人以上を抱え全米で5番目に多い留学生の数という調査も発表されました(オープンドアー2009年調べ)。パデュー大学は工学系の学部の強さで知られており、特に宇宙工学の分野では世界トップレベル。これまで多くの宇宙飛行士を輩出してきたことでも有名です。パデュー=理系というイメージが強いのですが、実は文系の専攻も幅広く出しておりここはさまざまな専攻を提供する総合大学ということになります。

留学生の間では大規模な総合大学は学生サポートが心配という声が聞かれます。今回は大学の規模とサポートについて少しお話します。回答から先にしますと、大学の規模と学生サポートの充実さは反比例するという言うわけではありません。大きな大学で留学生が多くなればなるほど、もちろん留学生に対応する職員の数は増えます。留学生を多く抱える学校であればあるほど経験も豊富であり対処方法をよく知っているということも言えます。文系の専攻のみを提供するリベラルアーツ系の大学はだいたい小規模なところが多いのですが、この場合学生数も数百人から数千人程度になります。小さな学校の利点はやはりアットホームな雰囲気ですが、留学生の数が少ない場合、逆に留学生を担当するはっきりとした部署がなかったり、あってもたった一人のスタッフで全てを取り仕切るということもあります。学生サポートの質は実際に学校のウエブサイトで留学生担当部署のホームページがあるかないか、スタッフの紹介ページや、実際に話をしてみることなどから判断する必要があります。

もう一つ、総合大学とリベラルアーツ系の違いについて。大規模な総合大学はたいていどこもスポーツチームをもちアメリカンフットボール、バスケットボール、陸上競技の強さなどでも大学をアピールします。学生はシーズン中大学キャンパスの中にあるスタジアムでこのようなスポーツ観戦に参加することができます。いわゆるアメリカのキャンパスを体験したいという方であれば、総合大学がイメージに近いのかもしれません。対するリベラルアーツ系の大学ですが、小規模の大学ということで職員と学生の距離の近さ、多くの大学が都市からは少し離れた郊外に立地する比較的のんびりとした場所にあり、その環境の良さを売りにしている大学も多く見られます。

総合大学にするかリベラルアーツなどの小規模な大学にするかは、それぞれの好みというのが結論になりますが、出来れば実際にその違いを希望学校を訪問することで体験することをお勧めします。進学先を決定する前に実際に大学を訪問するキャンパスツアーはアメリカの高校生の間では頻繁に行われいることで、どの大学のアドミッションオフィスもこのキャンパスツアーを充実させています。最近ではインターネットを通してのバーチャルツアー、またYoutubeビデオでも大学の様子を紹介していますので、キャンパスツアーが難しいという方も大学の雰囲気をインターネットから経験することもできるでしょう。U.S.カレッジコネクションでは大学訪問を実現させるお手伝いもしておりますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

最後にパデュー大学の根岸教授がおっしゃった一言をご紹介します。「若者よ海外に出よ!」海外に出ることで逆に日本が見えてくるということもおっしゃっていました。勇気をもって最初の一歩を踏み出してみませんか?

アメリカは職、イギリスは質:留学先決定の理由

アメリカの大学を取り巻く情報を知ることができる英文のウエブサイト ” Inside Higher Education” で「何が留学生を刺激するのか?」(What motivated international students?) と題する興味深い記事が掲載されていたので、今回はこの記事の内容をご紹介したいと思います。この記事は経済協力開発機構(OECD)がとった教育についての2010年の統計をもとに書かれているもので、世界中から集まる学生がどうやって留学する国を決めるのかということを分析しています。

留学先のトップ5の国々は、想像どおりアメリカ合衆国が1位、それにつぐ2位がイギリス、3位以下はドイツ、フランス、オーストラリアと続きます。興味深いのは、イギリスを留学先に選んだ学生の半数以上がその理由を教育の質を理由に挙げているのに対し、アメリカを留学先に選んだ学生のほぼ40パーセントはその理由として卒業後の就職の可能性を挙げていることです。日本人の間でも、イギリスの大学は名門、伝統というイメージがあるのではないでしょうか。アメリカでもたしかに名門校、有名校は数多く存在しますが、それ以上にアメリカを選ぶ学生は、将来アメリカでの就職も視野に入れ、それにはまずはアメリカの大学からということで渡米を決意するのでしょうか。近年留学生の就労条件が厳しくなっているアメリカではありますが、それでもアメリカに留学した学生でないと与えられない特権であるプラクティカルトーレーニング(在学中、卒業後など1年間限定の就労機会)からアメリカ就労ビザ獲得にこぎつけるケースもまだまだありますし、仕事イコールアメリカの構図は理解できます。

ちなみにオーストラリアやカナダを選択する学生はやはりワーキングホリデーを利用しての働きながら学ぶということを目的にしている場合が多いようです。またドイツを選ぶ学生の多くは授業料の安さをその理由にあげているのも面白いと思いました。ただし、近年の世界的不況で留学生の多くが資金の安さで留学する国を選ぶのかというイメージもありますが、そうではなく、やはり将来の可能性を一番に考え大学の質やキャリアアップの可能性で留学する国を選んでいるようです。たしかに留学するということは大きな結論になりますので、どの大学がどんな専攻を提供していて、そこで学ぶことが将来どのように希望する仕事(進路)に生かされていくのかということを優先に考えるべきだと私も思います。大学の授業料についてですが、一般に公表されている値段が確定された値段かといえばそうではないのです。実は大学によっては奨学金を留学生にもだしていたり、在学中にプラクティカルトレーニングを利用して一般企業で有給の研修をすることができたりして提示された金額よりも実際払う金額は少なくなるケースもあります。大学の調査をしっかり行うことでいろいろな可能性も見えてくるはずです。最近はアメリカの大学はあの手この手で学生獲得に向けて取り組んでいます。例えばある私立の大学では、新入生として入学した学生すべてにアップル社のiPad(アイパット)をプレゼントなんていうところもありました。重要なのは留学準備のプロセスでしっかりと希望大学の調査を行うこと。はじめたの場合は何からはじめてよいか分からないかもしれませんが、そんな時はU.S.カレッジコネクションにお気軽にご相談ください。それぞれの希望に沿いながら、皆さんにとって最良の選択になるようアドバイスさせていただきます。

参考文献:

Inside Higher Education, http://www.insidehighered.com/news/2010/09/30/foreign

アメリカのソーシャル・セキュリティー・ナンバー (SSN)

SSN
ソーシャル・セキュリティー・ナンバー(SSN)カード

今日はアメリカ生活では非常に重要なソーシャセキュリティーナンバーについてお話します。よくソーシャルセキュリティーナンバーは略して、エス・エス・エヌ(SSN)と呼ばれます。9桁の番号と言ってしまえばそれまでですが、アメリカで生まれ、そして労働する人々にとってはこのSSNが大きな意味を持ちます。アメリカで合法的に就労している人々はSSNがなければ賃金を得ることはできません。SSNは一人一人が異なる番号を持っており、この番号によって国税や州税の支払い義務のデータ入力、さらには厚生年金の支払いの帳簿もSSNによってデータ入力されているためです。SSNは各都市のソーシャルセキュリティーオフィスにて入手の申し込みをすることができます。F-1やJ-1ビザで一時的にアメリカに滞在している外国人にとってSSNは労働するときにのみ必ず必要になりますが、労働以外の理由でSSNの発行はできません。その証拠に留学生として一時的にアメリカに滞在している人のSSNカードにはValid for Employment Only(労働にのみ有効)というひとことが付け加えられているはずです。とは言っても一人一人が異なる番号のSSNは個人を見分けるID番号がわりに使われる場合も多くあり、SSNを持たない人々は不便な経験をするかもしれません。アパートを借りる、銀行口座を開設する、携帯電話を購入するなどさまざまな場面でSSNを聞かれることも多いと思います。ただし留学生対応で、SSNがなくとも銀行口座開設ができたり、自動車免許の申し込みや携帯電話の購入も可能になっています。また近年このSSN番号を非合法に入手し犯罪に使う悪質なケースも増えており、SSN番号を提示しなければならない状況は少なくなりました。ちなみに、SSNは皆それぞれ違った番号のため、誰かのSSNを入手することでその人の個人情報、金融情報なども盗むことが可能なわけです。もし労働のためにSSNを入手することが出来た場合には、以下のことに気をつけてください。

1.SSNは安易に電話やメールなどで教えない。

2.メールでSSN番号を聞く業者や会社は絶対に信用しない。

3.SSNは普段は持ち歩かず、安全な場所に保管する。

持っていれば確かに便利なSSNではありますが、取り扱いには細心の注意が必要です。

アメリカ出入国カードI-94:失くしていけない紙切れ

アメリカ出入国カードフォームI-94と言ってもピンとこないかもしれませんが、アメリカに向かう飛行機の中で渡される長方形の白い紙といえばお分かりでしょうか。ご自身のお名前とか滞在中のアドレスとか書くものです。このフォームI-94はもともとは長方形の紙ですが、アメリカに降り立ったところの入国審査で、入国用の情報フォームは切り取られて、皆さんには残りの正方形の切れ端が渡されるはずです。イメージ的にはまるで映画のチケットのように、いったんアメリカに入国してしまったら、I-94の切れ端はあまり重要ではなさそうですが、イメージとは違って実は皆さんのアメリカ滞在中の身分を証明するとても重要な紙切れなのです。

アリゾナ州政府が今年4月に不法移民取締りのために打ち出した新法では州内の移民が自身の身分を示す身分証明書を携帯していない場合にそれだけで刑法違反となり、また警察や空港カウンターなどに不法滞在に見える人々に身分証明書提示を求める権威を与えたこともがアメリカ国内どころか世界中のニュースになったのは記憶に新しいところです。これによりちょっと英語にアクセントがある人々も、町で警察官などからアメリカ人、あるいは合法的に滞在している外国人の証明を求められることもあり、もし何の証明も出来ない場合には刑務所に収容などということもありえたわけです。ただし後にこの法律はアメリカ連邦地裁より主要な条項の施行を差し止める命ずる判決が下されました。

I-94カード
I-94カード

アリゾナ州の新移民法が施行差し止めにはなったものの、この出来事をきっかけに留学生の受け入れに関わる担当者たちの間で「留学生たちの身分を正式に証明する書類」についてもう一度考え直すきっかけになったのも事実です。移民法には「学生や研究者、就労などの目的でアメリカに非移民として一時的に滞在している人々はその身分を示す書類を携帯していること」が記載されています。身分を示す書類の例として明記されているのがI-94カードなのです。I-94にはそれぞれが違う番号のアドミッションナンバーが記載されており、FやJなど学生の身分で滞在している場合にはこの番号がSEVISデーターベースにも入力されます。また同様にFやJの身分で入国した皆さんのI-94カードにはなにやら不思議なD/Sというマークが手書きで記入されているはずです。D/SとはDuration of Statusの略で皆さんのFやJとしての身分が学業が終了するDuration(期間)まで有効であるという意味です。なんらかの理由により修了する日にちが遅れたり、逆に早まることもあるので、身分が切れる日にちが明記されることなくD/Sのみが記載されているのが特徴です。このI-94カードはアメリカを出国する日まで保持する必要があり、一時アメリカを出国するときには出国する空港でI-94が取り外されます。そして再入国するときには新たにI-94カードを受け取ることになります。

アメリカで学生受け入れを担当する関係者の間ではこれまではパスポートやI-94カードなどあまりに重要な書類はオリジナルを持ち歩くことなくコピー持参でアメリカ国内は十分というアドバイスがこれまで主要でしたが、アリゾナの出来事をきっかけに、移民法に正確に沿うためには「最低でもI-94カードはオリジナルで携帯すること」という認識に変わったのが今年の流れでしょうか。ただし上記したとおり、I-94は重要な書類でもありますので失くさないように気をつけてください。失くした場合にはアメリカ国内から新たにI-94の再発行を申し込むことも可能ですが、手数料として今現在では300ドルが必要です。高いです。

I-94は重要な紙切れです。普段はパスポートにホチキスでとめておき、パスポートごと持ち歩くか、それが不安な場合にはI-94のみを取り外してカードケースなどに入れて携帯するなどの工夫をしてみてください。